フラッシュバックの話

骨折させられた時に身体中アザだらけで病院に来た私を診察した医者は虐待に気付かず、親の嘘だけを信じました。私はまだ小学生だったので、親が後ろで見てるのに医者にどうして骨折したの?と尋ねられても、お父さんに投げ飛ばされて骨折したなんて言えず、ストーブにぶつかった…と答えました。医者はストーブにぶつかったら骨折じゃなくて火傷するやろ?と不思議がっていた。

春休みだったので暖かい日だったからストーブに火は付いていなかった。当時はカンカンに熱くなるストーブを使ってて、上にやかん乗せてお湯を沸かせるやつ。もしあれで火が付いてたら、私は骨折だけでなく大火傷も負っていたと思うけど、あの日は火が付いてなくて投げ飛ばされてストーブに激突した私は組み立て式のストーブが壊れて下敷きになり、激痛が走って泣きじゃくった。

父親は泣くな!泣いたら殴るぞ!と怒鳴り散らしたが、私は泣き止もうと必死で涙を堪えたが、痛くて痛くて涙が止まらない。すると父親は逆上して私の首根っこを掴んで更に虐待を楽しもうとしたが、私の左腕がプラーンとなって骨折してる事に気付いた母親が、骨折しとる!やめて!と初めて止めてくれた。止めたのはこれが1回だけなので、他は止めようともせずゲラゲラ笑ってます。

父親はサーッと血の気が引いたような顔になる。娘が骨折してるのが周りにバレるとまずい。どうにかして私のご機嫌を取ろうとしたらしく、いつもは買ってくれないのに、ケーキ屋さんでケーキを買ってくれた。私の骨折が完治するまでは、殴られずに優しくされたので、私はずっと骨折が治らなかったら良いのに…と思っていた。ちなみにそのケーキは私以外の家族も全員食べてます。

虐待する親の特徴なのだが、虐待で怪我をした時は優しくして、虐待がバレないように誤魔化していた。私は自分が悪いから殴られていると思ってたので、この当時は父親を恨んではおらず、父親と仲良くしていたので、父親は私から好かれていると、当時は思い込んでいたが、心の底から大嫌いでした。この記憶は毎日毎日フラッシュバックしてますので、細かいところまで覚えてます。

父親はこの虐待だけは認めましたが、これ以外の虐待は無かった事にしようとしてました。毎日毎日殴り回してて、何か怪我をしたら殴らなくなる。自殺未遂で足の骨が粉々に砕けた時も殴らなくなったが、怪我が治ればまた殴り回していたので、父親は嘘をついて誤魔化している。怪我したら殴らなくなるし、ケーキも買ってくれるから良いお父さんじゃない?って周りからは言われた。

虐待した後に優しくしたら、虐待が帳消しになると思っているようだった。だから私は父親から優しくされても嬉しく無かった。殴られながらいつも、ああ骨折したいなぁと思いながら泣かずにただ殴られ続けて我慢した。私はだんだん心が壊れてきて奇声を発する事が増えた。それを見た周りの人は子供が異常だから、親が可哀想と言った。奇声を発する理由はフラッシュバックのせい。

親が殴らなければ奇声を発する事はなかったが、親が殴り回して奇声を発するようになると、父親はそれを理由に虐待を正当化した。うるさいから黙れ!と言って殴って、私は更に新しいフラッシュバックの映像が追加されて、苦しんで苦しんで奇声を発しないようにしようとしたが、フラッシュバックの映像が苦し過ぎて叫んでしまう。叫ばないと更に苦しくなって、生き地獄でした…。

だけど医者は奇声を発したから殴るのは良い事だと言って親を擁護。フラッシュバックの原因は殴り回してゲラゲラ笑ったのが悪いのだが、虐待推奨派の多い昭和の人間は、殴り回した親は全く悪くない。子供は殴られて当然なので、フラッシュバックを起こす方が悪いので、殴って黙らせるのは素晴らしい親だと主張された。私は恐怖と怒りの行きどころを失って心がどんどん壊れた…。

それを診察した医者は親の虐待は全く悪くない。これからも好きなだけ暴力をふるっても良い。奇声を発するのは子供が全て悪いから殴り回すのは素晴らしい事だと言って、親は更に虐待を繰り返してゲラゲラ笑い続けた。私は毎日毎日泣いて泣いて泣いて、涙も枯れてわけがわからなくなって、親は反省すらせずゲラゲラ笑って、本当に本当に辛かったけど、みんな良い親だと言ってる。